「第4次産業革命」に対応=新成長戦略で検討方針-競争力会議

第4次産業革命

 政府は25日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、新たな成長戦略の検討方針を決めた。IoT(モノのインターネット)や人工知能といった新技術を活用し、生産性を大幅に高める「第4次産業革命」に対応するため、イノベーション投資や人材の育成に向けた教育改革を柱に据えた。
 安倍首相は会議のあいさつで「今年は未来に挑戦する1年だ。成長戦略をさらに進化させる」と語った。
 検討方針は、第4次産業革命について「経済・社会構造を根底から変え得る今世紀最大のチャンス」と指摘し、産学官の連携などにより改革を急ぐ必要性を強調した。
 具体的には、膨大な情報を集積したビッグデータを活用するためのルール作りや、小型無人機(ドローン)の商業利用に向けた環境整備などについて議論を深める方針を打ち出した。また、IT活用など先端技術を担う人材の育成では、大学改革に加え、小中学校段階での教育改革も不可欠だと訴えた。
 安倍政権が目指す名目GDP(国内総生産)600兆円の実現では、成長が見込めるヘルスケア産業の創出や外国人旅行者の受け入れ拡大に向けた環境整備などを掲げた。このほか、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)を生かし、中堅・中小企業の海外展開支援や海外からの直接投資の呼び込みなどについて検討を進める。
 政府は、6月ごろに新成長戦略をまとめる。一部の目玉政策については、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で安倍首相が打ち出す見通しだ。
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第4次産業革命が仕事を奪う どう生き延びる?


先ごろ閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で発表された「The Future of Jobs」(仕事の将来)によると、テクノロジーは今後5年間のうちに、世界中のビジネスモデルだけでなく、雇用市場にも「崩壊」をもたらすという。新たな環境を生きぬくために必要な知識や技能には、どのような変化が起きるのだろうか。

残酷な現実をお知らせしよう──センサーや作動装置にも対応可能な仕事をしている人は、新たに何かを学び、別のスキルを身につけた方がいい。製造、組み立て、車両の運転、機械的な仕事、建設、そのほか今は想像もつかないような数多くの仕事を、ロボットがより安価で効率よくこなすようになる。さらに重要な点は、ロボットは疲れないし、飽きない。注意散漫にもならないということだ。

例えば、自動運転車は人間の運転手を雇うより車を走行させる際にかかる費用が安くなる。さらに、人間より安全運転だ。人間より反応が早く、360度の視界があり、固形の物体の向こう側にあるものも検知する。疲れることがなく、注意力を失わない。酒も飲まない。運転中に突然キレることもない。

まだ、こうした変化を受け止め切れない人たちもいる。運転手のいない街など想像できないのだ。しかし、自動運転車の運転技術は容易に人間の技術を超えるようになる。いずれ、運転手がいない車道は日常の光景になる。

ロボットに取って変わられる仕事が増えていくとすれば、WEFが指摘するとおり、「第4次産業革命」は今まさに始まろうとしているのかもしれない。それは過去の産業革命と同様に、より多くの職業を生み、生産性を大幅に向上させ、富を創出するのだろうか?あるいは、我々を人間には何一つ有益なことができない世界に向かわせているのだろうか?


一部の専門家らの考えでは、生産性は驚くほど大幅に向上し、多くの職業が消滅し、失業者は増加し続ける。そして、これは欧米だけに起きることではない。例えば中国・東莞市にある精密機器を製造する工場では、すでに総勢650人の従業員のうち、90%がロボットに置き換えられた。これにより生産性は向上し、同じ割合で不良品の発生率が低下した。現在も60人ほどが勤務しているが、仕事はロボットのメンテナンスで、実質的にはロボットの「奴隷」だ。この工場では、より低コストで機械の面倒をみてくれる別の機械を導入すれば、従業員数を20人程度にまで減らす方針だという。

我々はどう生き延びるのか──

テクノロジーの発明を止めることはできない。新たなテクノロジーを採用させまいとする試みは、これまでも必ず失敗に終わってきた。だが、今後もさらに多くの職業がテクノロジーによって奪われていくならば、人間はどうやって生きていけばよいのだろうか?解決策として検討されているのは、大半の人の賃金を同一とし、暮らしていくのに十分なだけのお金を与えることだ。それにより、人々が新たなスキルを学ぶための費用を捻出するという。

経済的な必要性から仕事をしている人と、天職だと思える仕事をしている人に分けた場合、前者の仕事が消滅していく可能性が高いことは明白だ。つまり、働くために生きる (楽しめることを仕事にしている) 人たちの仕事が消えることはなく、生きるために働く(生活するのに必要なお金だけを稼ぐ)人たちの仕事は消えてなくなるということだ。

生きるために何をするか、真剣に考える必要がある。そして仕事を失いたくなければ、今後の社会に必要となるスキルを身につけるため、訓練を受けることだ。この時代において自らに与えられる自由の度合いを高めるための最善の方法は結局のところ、現代に適切な教育を受けることに他ならない。

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IoT・AI以降の「第4次産業革命」の時代に求められる人材って?

「第4次産業革命」って何?

18世紀半ばから起こった「第1次産業革命」は、工場制機械工業により社会を根本から変えました。主に軽工業から始まった産業の変革は、19世紀に石油と電力の活用による「第2次産業革命」に至り、大量生産・大量輸送の幕を開けました。そしていま、私たちが生きる現代は、ITの発展と生産の自動化などで産業構造が変化する「第3次産業革命」期と定義されています。

では、次に来る「第4次産業革命」とは? その革命でもたらされるのは、IoT(モノのインターネット)により、すべてのモノがインターネットでつながる世界。たとえば、工場内外のモノがネットワークでつながり、人工知能(AI)が生産を最適化させたり、より効率的な販売ルートを実行したりする世界なのだとか。そんな時代が、2025年以降にはやってくると言われています。

なんだか人間の居場所がなくなりそうな危機感も覚えますが……そんな時代にも活躍できる人材とはどんなスキルを持った人なのでしょうか? 一橋大学名誉教授で、グローバル人材育成の専門家である石倉洋子さんが「無限大(mugendai)」で語っています。



根底から変わる社会を生き抜く真のグローバル人材とは?


 石倉さんが捉える現代の姿。それは、「境界がない時代」だといいます。国境、人種、年齢、性別、業界、組織などのあらゆる境界がなくなってきており、「最近では機械と人間の境界すらなくなっている」と指摘するのです。

家の掃除をロボットがやることに対して、いまや驚く人は誰もいません。スマホに話しかければ答えを用意してくれ、家庭用ロボットはより「人間的な」思考を目指しています。

テクノロジーの進歩によってあらゆる境界の意味が希薄になる中、グローバル人材の重要性はますます高まっています。しかし、石倉さんの定義するグローバル人材は、何も「世界に出かけてバリバリ行動する人」だけではありません。

境界を越え、自分の属性という「箱」から出て、自分で考えて発信し、分野をまたいで新しいことに挑んでいく人。それがいま求められている人材です。IoTなどで膨大な情報が手に入り、コンピューターがビッグデータを活用し、機械が学習するようになると、人間はそれを使って何をすべきかという話になります。知識の量ではなく、情報を組み合わせ、新しいものを創り出すクリエイティビティが重要なのです。



「個」が見える時代に、いかに勝負していくか


「グローバル時代は、企業や学校といった所属組織ではなく、“個”で勝負する時代」と力説する石倉さん。では、「世界で勝負できる個」を磨くためには、どうすればいいのでしょう?

印象深いのは、「組織は個に機会を与える場である」という指摘です。前述したように、組織の境界は曖昧になり、テクノロジーの進歩によって「個」が見える時代になってきました。YouTubeには世界中から極めて「個」な動画が日々大量にアップロードされます。それが人々の琴線に触れる動画であれば、発信者の国や人柄などは関係なく、瞬く間に世界を動かすムーブメントになる。それが、境界のない世界であり、個は組織を越えて無限の可能性を手に入れたといえるのかもしれません。

「人生とは、人と比較するのではなく、各人のユニークさを見つけて磨くこと」と語る石倉さん。世界と対峙し、個で世界と勝負していくために日本はどうすべきなのか。また、どのような教育で子どもたちを導いていくべきか。話は人材の育て方、企業経営のあり方、教育制度の問題点にまで及びます。

ビジネスのトップランナーから学生まで、すべての人が読んでおくべき「大切なメッセージ」。完全版は、「無限大(mugendai)」でご覧ください。

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