国産ワクチン21年春にも実用化 コロナ用開発進める大阪大大学院・森下教授


 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ切り札として期待されるワクチンの開発に、大阪大大学院の森下竜一寄付講座教授(58)=総社市出身=が挑んでいる。同大発創薬ベンチャーのアンジェスと組み、臨床治験を7月から行う計画で、効果や副作用を確認しながら、来春の実用化を目指す。森下教授は「流行の第2波、第3波が懸念され、一日も早く国民に届けたい」と語った。

 ―どんなワクチンか。

 ウイルスそのものを使ってつくる一般的なワクチンと違って、ウイルスの遺伝情報を一部組み込んでつくる「DNAワクチン」と呼ばれるタイプだ。遺伝子治療薬の研究開発で長年培ってきた組み込み技術を応用した。投与すると体の免疫機能が異物と認識し、排除しようと抗体を生み出す。ウイルスが侵入してきたら、その抗体が働いて抑え込む。

 ―一般的なワクチンと比べて利点は。

 インフルエンザなど多くのワクチンは、ウイルスを弱毒化したり不活化したりして、鶏の卵で増やして製造する。実際に患者に打ち始めるまでに5〜8カ月が必要となり、早期には対応できない。DNAワクチンはウイルス自体を使用していないため、安全性が高い。開発から供給までが6〜8週間と短く、大腸菌を使って大量生産できる。もちろん課題はあり、抗体をつくる能力が若干弱いとされている点は今後改良していきたい。

 ―進ちょく状況は。

 3月下旬に動物実験用の原液が完成した。現在はラットやサルなどに注射し、抗体の出来具合や副作用の有無を調べている。実験は順調に進み、想定した成果が出ている。医薬品として国から承認を得るために必要なヒトへの臨床治験は、7月に始められそうだ。

 ―具体的には。

 常に感染の危険にさらされている医師らを対象に行う。2週間で2回接種し、その1カ月後に感染予防効果を確かめる。まず大阪市立大付属病院の医療関係者数十人に打った後、9月に大阪府内の400〜500人に広げる。安全性に問題がなければ、年内に東京や北海道といった感染者の多い地域への展開を検討する。正確なデータを得るには多くの参加者が必要になる。岡山県内の医療機関にも協力を呼び掛けたい。

 ―国産の開発にこだわる理由は。

 欧米ではすでにヒトへの臨床治験が始まっている。製品化されたら、自国を優先するだろう。日本に入ってくる時期や量は見通しづらい。国産の研究や生産体制整備には数十億円かかり、国の支援を求めるとともに、他の製薬企業や大学にも協力を呼び掛けながら進めたい。

 もりした・りゅういち 大阪大医学部卒。米スタンフォード大循環器科研究員・客員講師、大阪大助教授などを経て、2003年から現職。内閣官房健康・医療戦略本部戦略参与、大阪府・大阪市特別顧問も務める。1999年に大学発ベンチャー・メドジーン(現アンジェス)を創業した。専門は遺伝子治療学。

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参考

国産ワクチン21年春にも実用化 コロナ用開発進める大阪大大学院・森下教授
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