「たま電車は永久ニャ」三毛猫駅長悲報から一夜、ラッピング電車走り続ける
たま駅長

猫の駅長として人気を集めた、和歌山電鉄貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)の三毛猫「たま」の死が発表されてから一夜明けた25日、同駅には急きょ献花台が設置され、訪れた国内外のファンが、別れを惜しんだ。たまのイラストなどがちりばめられた車両も運行している同電鉄では、「たまはシンボル。これは永久に変わりません」として、今後も「たま電車」を走らせ続けるという。

 貴志駅で、「たま」が昼寝をしながら客を出迎えていた「駅長室」の前には、この日、急きょ献花台が設置された。訪れたファンからは「たま駅長、ありがとう」と別れを惜しむ声が上がり、花束やかつお節、キャットフードなどが供えられた。

 たまの療養中から駅長代行として勤務していた三毛猫「ニタマ」が休日を返上して特別出勤。ニタマはたまの部下として、2012年から5駅隣の伊太祈曽(いだきそ)駅の駅長を務めているが、この日はたまの死を悼む人々の対応に当たり、愛くるしい姿で場を和ませた。

 高知県室戸市の自営業・宮田昌美さん(51)は、関西を巡る小旅行の途中に立ち寄ると「元気な姿を見られなくて残念です」としんみり。国内のたまファンに加え、実は海外での人気も高かったため、中国などから団体の観光旅行客らも入れ代わり立ち代わり訪れた。多い時間帯で40~50人が駅に詰めかけ、地元の小学校からは、「たま駅長 天国でも見守ってね」と書かれた寄せ書きが贈られた。

 和歌山電鉄では2009年から、通常の列車のほかに、車体にたまのイラストが入り、車内には三毛柄のシートが張られた「たま電車」を不定期で運行している。同社の広報担当・山木慶子さんは「(たま電車は)これからも走ります」。地元の人々にとって、貴重な交通手段であることを強調するとともに「たまはシンボル。これは永久に変わりません」と同電鉄の象徴として、走らせ続ける方針を明らかにした。

 28日に貴志駅で社葬が行われ、たまの現職だった「社長代理ウルトラ駅長」から「名誉永久駅長」への“最後の辞令”も言い渡される予定。人間でいえば80歳、16歳2か月で天国へ旅立った雌のたまは、子をのこしておらず、駅長職を“世襲”する猫はいないという。後継を立てるかどうかなどは、未定だ。

 ◆「たま」の足跡

 ▼2007年1月 駅長就任

 ▼9月 初の写真集「たまの駅長だより~いちご電車で会いにきて~」発売

 ▼08年1月 「客招き」の実績により「スーパー駅長」に昇格

 ▼10月 「和歌山県勲功爵」を受ける

 ▼09年3月 「たま電車」運行開始

 ▼10年4月 観光バス「たまバス」完成

 ▼8月 出演した仏映画「ネコを探して」が全国公開

 ▼10月 駅舎が改築。「たまカフェ」が併設される

 ▼11年1月 「和歌山県観光まねき大明神」に任命される

 ▼12年7月 アフラックのCMに徳光和夫さんと出演

 ▼13年1月 社長代理に昇格

 ▼14年6月 たまがデザインされたIC乗車券「ICOCA」の発売開始

 ▼15年6月22日 急性心不全のため天国へ
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参考
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