【テニス】錦織圭、全仏制覇に機は熟した? 赤土克服に手応え

Kei がんばれ

24日にパリで開幕するテニスの全仏オープンで、世界ランキング6位の錦織圭(25)=日清食品=が日本人初の四大大会シングルス優勝を目指す。赤土の「クレーコート」が舞台となる全仏は四大大会で最もタフさが要求され、錦織にとって“鬼門”となっていたが、15日にクレーコートで行われたイタリア国際(ローマ)の男子シングルス準々決勝でも世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と接戦を演じるなど苦手意識は払拭しつつある。日本勢悲願の初制覇に向けて機は熟した。(大宮健司)

■赤土はタフな舞台

 四大大会のコートには芝の「グラス」(ウィンブルドン選手権)、セメントやアスファルトを合成樹脂などでコーティングした「ハード」(全豪、全米オープン)、そして全仏の舞台となる赤土のクレーがある。

 クレーコートは弾んだボールの球足が遅くなるため、ラリーが長く続くのが特徴だ。戦後の日本人で初めてトーナメントプロとなり、世界を転戦した法政大スポーツ健康学部の神(かみ)和(わ)住(ずみ)純教授は「球足の速いグラスで行われるウィンブルドンに比べ、クレーで行う全仏では実質的なプレー時間が倍以上になる。全仏を勝ち抜くにはスタミナが必要」と話す。

 このため、スペシャリストが強く、波乱も多いとされ、過去10年ではラファエル・ナダル(スペイン)が9度優勝と無類の強さを発揮する一方、四大大会を8度制しているジョコビッチは全仏だけは優勝していない

■苦手意識は克服?

 錦織は昨年の全米での準優勝などハードコートとの相性が良い半面、4回出場した全仏は2013年の4回戦が最高で、クレーコートは苦手とされてきた。

 だが、13年12月から、17歳で全仏を制したマイケル・チャン氏をコーチに迎え、世界のトップ10入りを果たすなど急成長を遂げると、クレーコートでの成績も向上した。

 4月のバルセロナ・オープンは昨年に続く連覇を達成。昨年5月の決勝で「赤土の王者」ナダルから1セットを奪ったマドリード・オープンでも今年は世界3位のアンディ・マリー(英国)に敗れたが、4強入り。「もうクレーコートに対する不安はない」と手応えを口にした。

■課題は駆け引き

 こうした錦織の進化について、神和住教授は「クレーでも状況に応じて攻守の切り替えができるようになった」と話す。ベースラインの後方に位置取り、粘り抜くスタイルから、好機には前に出て攻撃するシーンが目立つようになったといい、「勝負するショットの精度が上がり、試合の主導権を握れている」と評価する。

 ただ、「(自己最高ランクは)世界4位までに上がったが、上位3人は別格」とも。マドリード・オープン準決勝では、マリーのペースを変えられないまま敗れており、「トップに立つには、作戦がうまくいかないときの戦い方が重要」と指摘。その上で、「今より上に行くにはどこかで四大大会を勝たないといけない。今回はチャンス」と期待を寄せている。
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全仏で勝つためのニュース
参考
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